創文社オンデマンド叢書

キリスト教修道制の成立

戸田 聡 (著者)
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商品説明

本商品は「旧ISBN:9784423460627」を底本にしたオンデマンド版商品です。
初刷出版年月:2008/03/01

今日世界各地に見られるキリスト教の修道院の源流は、3-4世紀の地中海世界、特にエジプトなどに求めることができる。本来人間が生きられない場所である砂漠への隠遁を敢行した「修道者の父」アントニオス、さらにその先駆者たちの試みがキリスト教修道制の端緒を成しているのである。その後の歴史に鑑みて、修道制の成立はキリスト教史上巨大な意義を有すると言うことができる。では、修道制はどのようにして成立したのか。これまでに提出された様々な学説を批判的に検討し、さらに修道生活とはそもそもどのようなものだったかを提示しつつ、修道制の成立という、古代キリスト教史研究上最もよく議論されてきた問題の一つに対して、新たな光を当てるのが本書の狙いである。

【目次より】
序言
凡例
第一部 修道制の成立をめぐる諸論点
第一章 「最初の隠遁者テーバイのパウルス」は実在したか?
第一節 テーバイのパウルスに関する『パウルス伝』以外の証言
第二節 『パウルス伝』の史実性の検討
第三節 まとめ
第二章 『アントニオス伝』の史料価値をめぐって
第一節 『アントニオス伝』の著者、著作年代、対象読者
第二節 『アントニオス伝』の史料価値
第三章 無学な修道者アントニオス? 初期修道制研究の 動向
はじめに
第一節 Rubensonの所説
第二節 初期修道制の研究への問題提起
第四章 キリスト教修道制の成立とマニ教 エジプトとシリアの場合
はじめに
第一節 従来の研究
第二節 マニ教はいつどのような経路でエジプトに到来したか
第三節 キリスト教修道制とマニ教の間には関係があるか
むすびに代えて
第五章 エジプトにおけるキリスト教修道制の成宜をめぐる覚書
はじめに
第一節 従来の理解 Heussiの所説
第二節 最近の研究
第三節 検討
おわりに
第六章 ローマ期エジプトにおけるキリスト教の普及をめぐって
はじめに
第一節 エジプトの最初期のキリスト教 Robertsの所説を中心に
第二節 エジプトの「キリスト教化」をめぐって
おわりに
第二部 キリスト教修道制の成立
第一章 『師父たちの金言』とポントスのエウアグリオス
第一節 問題の所在
第二節 比較
むすびに代えて
第二章 古代末期におけるキリスト教修道制の成立
はじめに
第一節 修道制はいつ成立したか?
第二節 内から見た修道制・修道生活
第三節 キリスト教著作家が見た修道制
第四節 修道制と初期キリスト教 修道制の成立
おわりに
第三章 キリスト教修道制の成立をめぐる諸論点の詳論
第一節 修道制に関する史料の記述(─四世紀末)・史料用語
第二節 修道制と初期キリスト教 二つの論点及び前章への補足
第三節 修道制と非キリスト教
おわりに
補論 初期修道制と「主知主義」
第一章 グノーシス主義と修道制
はじめに
第一節 ナグ・ハマディ文書と修道院
第二節 禁欲から見たグノーシス主義と修道制
第三節 グノーシス主義と修道制の思想的相違、それとも接点?
むすびに代えて
第二章 なぜエウアグリオスは秘教的だったか?
第一節 問題の所在
第二節 検討(一) エウアグリオスは何を受けた(学んだ)か
第三節 検討(二) エウアグリオスの著作はどう受け止められたか/検討のまとめ
第四節 結論
あとがき

文献略号表


著者
戸田 聡(トダ サトシ)
北海道大学大学院文学研究院准教授。
東京大学経済学部卒。一橋大学大学院中退。ベルギー・ルーヴァンカトリック大学特別学士課程修了。オランダ・ライデン大学文学部博士課程。文学博士。専門は、古代キリスト教史、東方キリスト教文学。

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