創文社オンデマンド叢書

比較社会経済史(歴史学叢書)

カーエン、Cl (著者), 加藤 博 (翻訳)

シリーズ:歴史学叢書

¥ 2,640 (本体: ¥ 2,400 + 消費税: ¥ 240)
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商品説明

本商品は「旧ISBN:9784423493465」を底本にしたオンデマンド版商品です。
初刷出版年月:1988/03/30
叢書・シリーズ名:歴史学叢書

オリエント社会経済史の知的巨人が、イスラムの「イクター制」を手掛かりに、霧のごとき概念群の罠から、「封建制」を救い出すべく、硬直化した歴史解釈を打破し新たなる展望を切り開く比較史研究。イスラム・ビザンツ・西ヨーロッパ社会に、〈同一地点への合流現象〉を見出し、大胆なモデル構築を試みる斬新な着想。カーエンの三論文と渡辺金一の「解説」。

【目次】
凡例
《封建制》という言葉の使用についての若干の考察
新刊書〔プートリュッシュ著『領主制と封建制』〕をめぐって
オリエント社会経済史の構想
西ヨーロッパから出発する《封建制》の比較史研究
同一地点への合流現象を示す諸社会を同時に、同等にとりあげる比較史研究
比較に際しての諸指標
土地制度 人的関係 公権力の私的分割 軍人層 要素と全体
社会のタイプに即した、歴史的概念の限定的使用の必要性
比較のシェーマ フィーフ・プロノイア・イクター
商品経済の契機
ムクターの従属性とヴァサルの従属性観念上の差違と事実上の同一性
君主・臣下関係のヒエラルキー的タイプと直属的タイプ
ムクター、ヴァサルの都市居住
同一地点への合流現象を示すイスラム世界と西ヨーロッパ
西洋封建制の「独自性」の意味
封建制論争と関わって
九ー一三世紀におけるイクターの発展 中世の諸社会の比較史のために
テーマ イクターの発展のさまざまな路線
アラブ征服時代 十分の一税(ウシュル)納入義務を負った原初イクター(カティーア)
一〇世紀初頭「税収」イククー(イクター・アルイスティグラール)の出現
托身の普及とイクター保有との相互補強作用
ブワイフ朝軍人体制の確立(一〇世紀第二、四半期)ハラージュ地からの、兵士へのイクター・アルイスティグラールの大幅な分与 イクター・ウィラーヤ(「行政」イクター)の出現 セルジューク朝のイククー・アルイスティグラール
セルジューク朝のイククー・アルイスティグラール朝末期 イクターの封土への接近 イクター・ヒエラルキーの成立
セルジューク朝以外の諸王朝のもとでのイクターの発展
アイユーブ朝エジプト イブラ(評価価値)に基づく「財政」イクター
結語
イスラム世界、西ヨーロッパで等しくみられた二重の歴史的過程(イクターの封建化、国家機能の封建化)
ビザンツ・プロノイアの発展との平行性
ビザンツ、イスラム世界の商品経済的背景 イクター・システムの不安定性と、封建的世襲貴族の未発達
奴隷制商品経済の契機イスラム社会の都市的性格
〔解説〕同一地点への合流現象を示す諸社会の比較史研究(渡辺金一)
訳者あとがき(加藤 博)


著者
Cl.カーエン
1909~1991年。フランスのマルクス主義の東洋学者、歴史家。専門は、十字軍に関するイスラム教徒の情報源、中世イスラム社会の社会史。

訳者
加藤 博(カトウ ヒロシ)
1948年生まれ。 中東史学者。一橋大学名誉教授。一橋大学商学部卒業、同大大学院経済学研究科修士課程修了。カイロ大学留学。一橋大学大学院経済学研究科博士課程満期退学。経済学博士。専門は、中東社会経済史、イスラム社会論。
著書に、『私的土地所有権とエジプト社会』『文明としてのイスラム』『アブー・スィネター村の醜聞』『イスラーム世界の危機と改革』『イスラム世界の常識と非常識』『イスラム世界論』『イスラム世界の経済史』『「イスラムvs.西欧」の近代』『ナイル 地域をつむぐ川』『イスラム経済論 イスラムの経済倫理』『ムハンマド・アリー 近代エジプトを築いた開明的君主』 など、
訳書に、Cl.カーエン『比較社会経済史 イスラム・ビザンツ・西ヨーロッパ』(共訳)アリー・バラカート『近代エジプトにおける農民反乱 近代エジプト社会史研究入門』(共訳)などがある。

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