創文社オンデマンド叢書

問題としての神(長崎純心レクチャーズ)

経験・存在・神

稲垣良典 (著者)

シリーズ:長崎純心レクチャーズ

¥ 3,080 (本体: ¥ 2,800 + 消費税: ¥ 280)
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商品説明

本商品は「旧ISBN:9784423301128」を底本にしたオンデマンド版商品です。
初刷出版年月:2002/03/01
叢書・シリーズ名:長崎純心レクチャーズ 4

人間の理性が行う最も根元的で包括的な探求が哲学である.哲学史をふり返ると,「神」と呼ばれる存在は常に,容易には解決できない問題を哲学につきつけてきた.中世哲学のみならず古代哲学と近世哲学も,それぞれの仕方で神の問題と深く関わりながら展開されてきたのである。ところが,カントの理性批判やニーチェの「神の死」,そして経験主義哲学が絶大な影響を及ぼす現代,理性的探求としての哲学において神は全く問題となりえない,との大前提が疑いなきまでになっている.「哲学の解体」や「反哲学」の試みは、まさしくその傾向を象徴的に反映していると言えよう。こうした現状のなかで本書は、経験論哲学と形而上学を中心とした著者30年の研究を背景に、神こそは問題の中の問題である説く。「神のかたどり」としての人間観に基づいて、理性と信仰、哲学と神学の関わりを明快に論じた講演の記録。

神とは何か? 哲学、現代思想、スコラ学、近代経験主義、神秘主義、人間中心主義、形而上学などのさまざまな視点から、検討する。

【目次より】
「長崎純心レクチャーズ」について  片岡千鶴子
まえがき
第一日 経験と神
はじめに 神は「問題」となりうるか
哲学と神
現代思想と神
「反哲学」
「少数派」の見解?
「経験」と「存在」
神を問題とすることへの異論
「神について考える暇はない」
スコラ学的「討論」
異論
「反対異論」
「神の死」
「神の死」は自明のことであるか
哲学と神学の分離?
「神の死」をひきおこしたもの
近代は人間を解放したのか?
「経験」の意味
「存在」の意味
経験と「経験主義」
経験の「経験的」理解
「開かれた」経験
質疑応答
第二日 神と存在
「存在」の捉えにくさ
経験は神の探求を排除しない
神の探求と存在論
「否定神学」
「神秘主義」
「不可知」と「測り尽くしえない」
「人間中心主義」
「存在」をめぐる通念的理解
「存在忘却」
「存在」にたいする問い
「存在」への問いと「人間的」思考
「西洋的」思考?
人間の認識における「神的」要素
神的創造の視点
形而上学と偶像礼拝
「存在の類比」の問題
「存在」と「愛」 ペルソナの存在論
質疑応答
第三日 理性と信仰
はじめに 理性と信仰の問題
自由 真理 信仰
「哲学者の神」
パスカルと「哲学者の神」
デカルトと「哲学者の神」
パスカルにおける理性と信仰
理性と信仰 総合の試みとその破綻
トマスにおける理性と信仰の総合
「学」としての神学の問題
「存在」の神と「愛」の神
『神学大全』の構造
近代における理性と信仰との分離
回勅「信仰と理性」
神を「問題」にすることは可能か
神を「問題」にすることは人間にとってふさわしいことか
「神のかたどり」としての人間
質疑応答
資料
第一日
第二日
第三日

あとがき


著者
稲垣 良典(イナガキ リョウスケ)
1928年生まれ。東京大学文学部卒業。アメリカ・カトリック大学大学院哲学研究科にてPh.D.を取得。文学博士(東京大学)。九州大学名誉教授。専門は中世スコラ哲学。『神学大全』翻訳で第67回毎日出版文化賞、『トマス・アクィナスの神学』および『トマス・アクィナス 「存在」の形而上学』で第27回和辻哲郎文化賞をそれぞれ受賞。

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