創文社オンデマンド叢書

世界遺産への道標

事例研究・芸術都市フィレンツェの経営政策

今道 友信 (著者), 樺山 紘一 (著者), 田中 英道 (著者), 徳山 郁夫 (著者), 稲垣良典 (著者), 松田 義幸 (著者)
¥ 8,030 (本体: ¥ 7,300 + 消費税: ¥ 730)
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商品説明

本商品は「旧ISBN:9784423101094」を底本にしたオンデマンド版商品です。
初刷出版年月:2017/03/01

ユネスコの世界遺産は人類の過去の文化的偉業に光を当てるにとどまらず、人類の未来を切り拓くための平和教育である。文化とは本来的に「魂・精神の耕し」であり、「人間であることの探究・完成」を目指すものである。真の平和教育は単に平和を願望し、戦争の悲惨さと愚かさを叫ぶ「平和主義者」ではなく、平和ならしめる人、真に平和を創りだす人間の育成を目指すべきものであるから、何よりも豊かな人間性の育成に力を入れるべきである。人類に卓越した文化的偉業―例えばフィレンツェ-に親しく触れることにより、その美を味わい、それら偉業を達成した人類の知恵を感得することは、まさしく「魂・精神の耕し」であり、人間性の十全な実現へと導くものであり真の平和教育といえるのではないか。世界遺産を教材に異文化・異文明を相互に理解し、地球益、人類益の共通善を学ぶ最良の入門書。

ユネスコ世界遺産は、異文化・異文明相互理解のための格好の手引である。世界遺産を教材に地球益、人類益の共通善を学ぶ最良の入門書。特に、フィレンツェの事例を中心に世界遺産のあり方を考える。

【目次】
序 世界遺産とわれら 稲垣良典
目次構成について 松田義幸
第一部 世界遺産の背景 戦争と平和 いかに考えるか
第一章 被爆七〇年の夏に想う 松田義幸 心の中に平和の砦を築く
1 『文明の衝突』の投げかけた波紋 2 『世界憲法シカゴ草案』と『聖トマス・アクィナスと世界国家』 3 ハッチンス、アドラー、グレート・ブックス 4・5 日本のグレート・ブックス運動の受容過程 6 『ミルワード神父のシェイクスピア物語』開始 7 被爆七〇年、忘れ得ぬ人々
8 モーティマー・J・アドラー著『戦争と平和 いかに考えるか』
第二章 世界遺産のための教養講座 松田義幸 異文化・異文明の相互理解に向けて
1 今道友信先生の『実践美学原論』 2 アーウィン・パノフスキー先生の『ゴシック建築とスコラ学』 3 稲垣義典先生の『問題としての神』 4 渡部昇一先生の『言語と民族の起源について』 5 松浦晃一郎先生の『世界遺産』 6 樺山紘一先生の『ルネサンスの歴史案内』 7 田中英道先生の『ルネサンスの美術案内』
第二部 事例研究・芸術都市フィレンツェの経営政策 美の実践による「世界美化」運動モデル
第三章 フィレンツェ・ルネサンスの形成 世俗世界の現実を写しとった詩人ダンテ
講演1 ルネサンス思想の系譜 今道友信 講演2 ルネサンス時代の諸言語の饗宴 樺山紘一 講演3 ルネサンス美術の伝統と革新 田中英道 討論 永遠の芸術都市フィレンツェ 今道友信/樺山紘一/田中英道/司会・松田善幸
第四章 フィレンツェの芸術資本投資の理念と実際――美術修復の学際研究と先端技術の開発・蓄積
講演1 イタリア・ルネサンスの都市経営史 樺山紘一 講演2 芸術産業都市のモデル「フィレンツェ」 田中英道 講演3 芸術都市フィレンツェの経営政策 松田義幸 鼎談 芸術都市経営の諸相 樺山紘一/田中英道/松田義幸
第三部 ルネサンス世界遺産・心の旅 ヨーロッパ・ルネサンスの旅案内
第五章 ルネサンス研究の自分史―課題と展望 それぞれのルネサンス・ゼミ旅行
講演1 西洋中世史とルネサンスと私 樺山紘一 講演2 イタリア美術史とルネサンスと私 田中英道 講演3 グレート・ブックスとルネサンスと私 松田義幸 附論『柏の葉ルネサンス塾』報告―ダンテフォーラムに学ぶ街づくり 徳山郁夫
第六章 ロゲンドルフ先生の『和魂・洋魂』
文献案内 松田善幸 上智大学クルトゥール・ハイム・サロンの時代
あとがき 松田善幸


今道 友信(イマミチ トモノブ)
1922~2012年。美学者、中世哲学研究者。東京大学名誉教授。東京大学文学部哲学科卒業。文学博士。「エコエティカ」(生命倫理による人間学・倫理学)を提唱。
著書に、『美の位相と藝術』『解釈の位置と方位』『同一性の自己塑性』『愛について』『美について』『アリストテレス』『東洋の美学』『東西の哲学』『断章空気への手紙』『現代の思想』『新しい知性と徳を求めて』『西洋哲学史』『存在と価値 現代哲学の課題』『詩と展景『エコエティカ』『自然哲学序説』『知の光を求めて 一哲学者の歩んだ道』『ダンテ「神曲」講義』『超越への指標』『中世の哲学』 『今道友信わが哲学を語る―今、私達は何をなすべきか』『美について考えるために』などがある。

著者
樺山紘一(カバヤマ コウイチ)
1941年東京生まれ。東京大学卒。専門は西洋中世史、西洋文化史。東京大学文学部教授、国立西洋美術館長を経て、現在、東京大学名誉教授、印刷博物館館長、渋沢栄一記念財団理事長。
主な著書に『歴史のなかのからだ』『ルネサンス』『ルネサンスと地中海』『世界史への扉』『西洋学事始』『歴史の歴史』などがある。

著者
田中 英道(タナカ ヒデミチ)
1942年生まれ。東京大学文学部卒業。ストラスブール大学で博士号取得。現在、東北大学名誉教授。2006年酒田市より阿部次郎文化賞を受賞。
主著に、『ラ・トゥール 夜の画家の作品世界』『イタリア美術史 東洋から見た西洋美術の中心』 『ミケランジェロの世界像 システィナ礼拝堂天井画の研究』『日本美術傑作の見方・感じ方』『レオナルド・ダ・ヴィンチの世界像』『「やまとごころ」とは何か 日本文化の深層』などがある。

著者
徳山郁夫(トクヤマ イクオ)
1947年生まれ。千葉大学名誉教授。柏の葉ルネサンス塾主宰。専門はスポーツ教育学。東京教育大学体育学部卒業、同大学大学院体育学研究科修了。千葉大学助手、千葉大学教養部講師、千葉大学教育学部助教授、千葉大学教育学部教授を歴任。2003年に千葉大学環境健康フィールド科学センター教授に異動。

著者
稲垣良典(イナガキ リョウスケ)
1928−2022年。東京大学文学部卒業。アメリカ・カトリック大学大学院哲学研究科にてPh.D.を取得。文学博士(東京大学)。九州大学名誉教授。専門は中世スコラ哲学。『神学大全』翻訳で第67回毎日出版文化賞、『トマス・アクィナスの神学』および『トマス・アクィナス 「存在」の形而上学』で第27回和辻哲郎文化賞をそれぞれ受賞。

著者
松田義幸(マツダ ヨシユキ)
1939年生まれ。学校法人尚美学園顧問。尚美学園大学名誉教授、森永エンゼル財団理事、小石川ロータリークラブ会員。専門は教育社会学・レジャー社会学。東京教育大学教育学部教育学科卒業。

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