創文社オンデマンド叢書

ハンス=ゲオルグ・ガーダマーの政治哲学

解釈学的政治理論の地平

加藤 哲理 (著者)
¥ 9,350 (本体: ¥ 8,500 + 消費税: ¥ 850)
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商品説明

本商品は「旧ISBN:9784423710777」を底本にしたオンデマンド版商品です。
初刷出版年月:2012/03/01

これまで政治学の分野において,ガーダマーの思想に正面から挑んだ研究は皆無に等しかった.本書は,ガーダマーの主著である『真理と方法』を政治哲学の書へと大胆に読みかえることによって,政治についての沈黙の背後に隠されている政治哲学者としての相貌を明らかにし,影響下に発展していった多様な解釈学的政治理論との比較によって,その思想の規範理論におけるアクチュアリティを探求する独創的な試み.ガーダマーが生涯をかけて実践した解釈学的対話そのものが,ソクラテス=プラトンから継承した問答法的倫理を現代へと甦らせる一つの政治哲学であったことを鮮烈に描き出す.

20世紀ドイツの哲学者・思想家で、解釈学の第一人者ガーダマーは、政治をどう考えたのか。ハーバーマスとの対話などを基に探る。

【目次より】
序 政治的なるものへの問い
第一部 ハンス=ゲオルグ・ガーダマーの政治哲学
第一章 実践哲学の復権と哲学的解釈学
はじめに
第一節 アリストテレスにおける実践
第二節 実践哲学の復権
おわりに
第二章 ガーダマーにおける芸術と政治 『真理と方法』第一部の政治哲学的読解
はじめに
第一節 ガーダマーにおける美的政治
1 戯れとしての政治
2 美と共同性
3 作品としての倫理的共同体
第二節 ガーダマーにおける詩的政治
1 戯れとしての対話
2 詩と共同性
3 詩作品としての言語的共同体
おわりに
第三章 ガーダマーにおける歴史と政治 『真理と方法』第二部の政治哲学的読解
はじめに
第一節 解釈学的実践の場所としての伝統的共同体
1 先行判断
2 権威
3 伝統
第二節 解釈学的実践の目的
1 相互理解
2 適用
第三節 歴史的運動としての解釈学的実践
1 活動史
2 地平の融合
3 解釈学的経験
おわりに
第四章 ガーダマーにおける言語と政治 『真理と方法』第三部の政治哲学的読解
はじめに
第一節 解釈学的対話の場所としての歴史的=言語的共同体
1 コンテクストとしてのテクスト
2 問いの地平
第二節 解釈学的対話の目的
1 実在と言語
2 プラトンにおける善と美
第三節 問答法的運動としての解釈学的対話
1 一と多
2 無知の知
おわりに
第二部 ガーダマーの政治哲学の現代政治理論における地位
第五章 ガーダマー-ハーバーマス論争の政治理論上の意義
はじめに
第一節 ハーバーマスの批判 解釈学と批判理論
1 イデオロギーとしての伝統
2 理想的発話状況
第二節 批判的解釈学から討議の政治ヘ カール=オットー・アーペルの政治理論
1 超越論的解釈学
2 討議倫理
3 グローバルな公衆による政治
第三節 ガーダマーからの応答(1) 解釈学的対話と普遍的討議
1 慎慮とコミュニケーション的合理性
2 活動史と普遍史
3 哲学的解釈学と再構成的社会科学
おわりに
第六章 ガーダマー-デリダ論争の政治理論上の意義
はじめに
第一節 デリダの批判 解釈学と脱構築
1 他者の不在
2 テクストとエクリチュール
第二節 ラディカルな解釈学から差異の政治ヘ ジャンニ・ヴァッティモの政治理論
1 ニヒリズム的解釈学
2 解釈学的共産主義
3 キリスト教とヨーロッパ
第三節 ガーダマーからの応答(2) 解釈学的対話と文の抗争
1 同一性と差異
2 形而上学の終焉
3 反転した形而上学
おわりに
第七章 ガーダマーとチャールズ・テイラー 政治理論としての哲学的解釈学
はじめに
第一節 「間」としての哲学的解釈学
第二節 哲学的解釈学のアポリア
おわりに
結 政治的なるものと宗教的なるものの間で
あとがき

参考文献


著者
加藤 哲理(カトウ テツリ)
1981年生まれ。政治学者。名古屋大学大学院法学研究科准教授。京都大学大学院法学研究科博士課程修了。専門は、政治思想史。
著書に、『ハンス=ゲオルグ・ガーダマーの政治哲学』『ハーバーマスを読む』(編著)などがある。

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