創文社オンデマンド叢書

福音とアジア文化(長崎純心レクチャーズ)

韓国カトリック教会の歴史と課題

姜禹一 (著者)
¥ 2,970 (本体: ¥ 2,700 + 消費税: ¥ 270)
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商品説明

本商品は「旧ISBN:9784423301319」を底本にしたオンデマンド版商品です。
初刷出版年月:2013/08/01
叢書・シリーズ名:長崎純心レクチャーズ13

非キリスト教圏における宗教心や宗教文化は、キリストの福音の受容を阻む壁となるのか、それとも福音を独自の仕方で受容する助けとなるのか。韓国済州島の司教である著者は、その文化のもつ非福音的価値とは対決しなくてはならないと言明し、韓国におけるカトリック信仰受容の歴史と課題について講演する。西欧の宣教師が活動した日本や中国と異なり、韓国のカトリック教会は一般信徒である韓国人の自主的活動により誕生し成長した。そしてその活動が常に政治権力による迫害にさらされ継続したことを解説。その上で、済州島が蒙った悲劇と現在直面する問題を、キリスト信仰に立脚した、国家権力への抵抗と反戦の思想を交えて物語る。悲劇の意味を問い、その中で語られる神の声に耳を傾けてつむがれる司教の言葉は、社会正義や政治哲学の根本問題を投げかけるとともに、近くて遠い国、韓国の人々の宗教理解をわれわれに提供する。

朝鮮半島において、キリスト教はどのように受容されたのか? なぜカトリックが受け入れられたのか? 済州島でのキリスト教の歴史も探る。

【目次より】
「長崎純心レクチャーズ」について  片岡千鶴子
第一日 韓国社会における福音受容の歴史と課題
朝鮮半島へのカトリック信仰の伝来
李乗薫 最初のカトリック信者
当時の社会的状況と思想的背景
朝鮮王朝による宗教政策
儒教的政治体制の行き詰まり
カトリシズムヘの関心
朝鮮におけるカトリック教会の始まり
迫害の始まり
迫害の政治的・社会的背景
朝鮮王朝時代の身分制度とその崩壊
政治体制、社会秩序の崩壊とカトリック信仰
周文慕神父の殉教
朝鮮最初の司教区設立
朝鮮出身最初の司祭
大迫害時代
韓国カトリック教会の歴史
カトリック信者数の推移
カトリック信者の急増 その光と影
「冷淡者」の問題
小共同体運動
現代カトリック教会 第二バチカン公会議
四つの基本的憲章
これからの課題 四大憲章の精神の具体的実現
質疑応答
第二日 済州におけるカトリック教会 カトリック教会が直面する問題
済州島の歴史 建国の神話
古代国家・耽羅
高麗王国への従属(一一〇五~)
モンゴル占領期(一二七三~一三七四)
朝鮮王朝への従属(一三九三~一九一〇)
朝鮮王朝以後 搾取と抵抗
アメリカ・イギリス・ソ連・中国による信託統治(一九四五~四八)
アメリカ軍政下(一九四五~)
一九四七・三・一 軍政に対する抗議集会と抵抗運動の展開
四・三事件 一九四八年四月三日、南労党による武力闘争の発端
大韓民国軍による討伐作戦
四・三事件の最終段階 犠牲者三万人
ジェノサイド(大量集団虐殺)の問題
四・三事件と韓国政府の対応
全国民が謝罪する必要性
四・三の神学的省察
軍港建設問題
済州カトリック教会の対応
国家とは何か?
日本における国家意識の形成
アメリカの場合
国家対キリスト信者
「神の民」イスラエル
抵抗権の基礎
「神の民」イスラエルと預言者
政治による大規模河川工事(四大川事業)と教会の対応
済州海軍基地建設反対運動 政治的圧力
何故反対するのか
キリスト信者と国家
現代の戦争、軍備拡張と教会の教え
質疑応答
補遺
済州島ガンジェオン村に始まるアジア平和
日本と韓国 文化の違いから見えてくるもの
解説 稲垣良典
あとがき 稲垣良典

姜 禹一
1945年生まれ。韓国済州教区司長。
著書に、『福音とアジア文化』などがある。

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