創文社オンデマンド叢書
道学の形成(東洋学叢書)
シリーズ:東洋学叢書
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商品説明
本商品は「旧ISBN:9784423192573」を底本にしたオンデマンド版商品です。
初刷出版年月:2002/12/01
叢書・シリーズ名:東洋学叢書
道学の創立者は従来周敦いであると語られてきたが、史実に照らせばその淵源は二程、特に程いの学派であり、周程間に思想の授受は存在しなかった。著者は、朱熹の道統観を軸とする伝統的見方を排し、道学内部の思想的自己展開や、仏教・道教また王安石・蘇軾という外部を意識した思想的言説の展開を綿密に辿って道学形成史を再構成する。初期道学系の儒者に共通する万物一体観を「理一」として提示しえた程いの思想こそ、中央と在野両方の士大夫に存在理由と行動原理を与えた宋代思想の始まりであった。道学の基本的性格とそれを生み出した思想的社会的土壌、そして一個の学派として成長し勢力を伸張していく過程を壮大に描く画期的宋代思想史。
【目次より】
序章
第一節 宋代思想史研究の根本問題
一 思想と思想史 二 思想史に於ける変革期
第二節 道學研究の根本問題
一 道學とは何か 二 道學資料の独自性
第一章 北宋の思想運動
第一節 慶暦前後に至る思想動向
第二節 欧陽脩 中央の動向
一 問題の所在 二 理 三 人情 四 自然と簡易 五 欧陽脩から王安石へ
第三節 陳襄 地方の状況
一 問題の所在 二 新たな講學者たち 三 講學の内容 四 性善説と顔子好學論 五 『周易講義』の性格 六 陳襄の學問の行方
第二章 二程の先行者
第一節 胡〓 程頤の師
一 問題の所在 二 楽論と教育論 三 『易経』解釈 四 胡〓の學問と程頤
第二節 周程授受再考
一 周敦頤神話の検討 二 二程の態度 三 程門の姿勢 四 連続と断絶
第三節 宋代思想史上に於ける周敦頤の位置
一 周敦頤の思想傾向 二 周敦頤の思想の由来 三 宋初古文家の性格 四 周敦頤から二程へ
第四節 二つの太極図
一 周敦頤「太極図」の種々相 二 「太極図」の思想
第三章 程〓の思想の基本構造
一 天理 二 善と悪 三 対佛教の意識 四 萬物一体と敬 五 気
第四章 程頤の思想と道學の登場
第一節 程頤の思想に於ける「理一」の性格
一 初期道學者の連帯感 二 程頤の「理一」論の骨格 三 道學の萬物一体観 四 程頤の「理」の概念 五 善悪と訓詁
第二節 「理気二元論」観の検証
一 問題の所在 二 道と陰陽 三 性と気 四 稟気と気化 五 感応、盛衰、消長 六 眞元の気
第三節 程頤『易伝』の思想
一 『易伝』の意義 二 『周易正義』批判の二方向 三 『周易正義』批判の立脚地 四 『易伝』の方向 五 『周易正義』と胡〓の易理解 六 『易伝』の易理解 七 『易伝』に於ける理 八 『易伝』の諸特徴
第五章 道學と佛教・道教
第一節 道學と佛教に於ける議論の場と範疇
序説 一 共通の場の形成 二 道學が得たもの
第二節 道學と華厳教學
序説 一 「止」による佛教批判 二 法界観の理解 三 程頤「易伝序」の問題 四 理性 五 佛教批判の場に於ける「理」 結語
第三節 死の問題から見た道學の佛教批判
序説
一 道學の死生観 二 道學以後
第四節 二程の気論と道教
一 程〓 二 程頤
第六章 対立者の思想
第一節 王安石に於ける學の構造
一 問題の所在 二 『周体義』の性格 三 『字説』の性格 四 王安石の制度論 五 「一道徳」の意味 六 王學と道學
第二節 蘇軾の思想的輪郭
序説 一 道 二 性 三 天と人 四 科学 五 佛学 結語
第七章 道學の形成と展開
第一節 晩年の程頤
序説 一 崇政殿説書 二 〓州流〓 三 晩年
第二節 楊時の立場
序説 一 反王學の立場 二 祖述者の立場
結語
終章
第一節 道學史上に於ける朱窯の位置
第二節 朱熹道統論の性格
一 二重の正統性 二 伝灯論との差異 三 師道論 四 相反する二要素 五 道統論のゆくえ
注
後記
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著者
土田 健次郎(ツチダ ケンジロウ)
1949年生まれ。中国・日本の思想研究。元早稲田大学第一文学部卒業、同大学院文学研究科博士課程単位取得退学。博士(文学・早稲田大学)。早稲田大学文学部教授。専門は、宋代の中国思想と江戸時代の日本思想。
著書に、『道学の形成』『儒教入門』『江戸の朱子学』『朱熹の思想体系』など、
訳注書に、山鹿素行『聖教要録・配所残筆』朱熹 『論語集注』などがある。