創文社オンデマンド叢書

中世の人間観と歴史

フランシスコ・ヨアキム・ボナヴェントゥラ

坂口 昂吉 (著者)
¥ 7,590 (本体: ¥ 6,900 + 消費税: ¥ 690)
数量 在庫 在庫あり

商品説明

本商品は「旧ISBN:9784423460467」を底本にしたオンデマンド版商品です。
初刷出版年月:1999年

人間の尊厳、歴史の進歩の肯定―ルネサンス思想の基盤をなすこの二つの近代的精神は、中世キリスト教世界の中で徐々に形成された。本書は十二・十三世紀の三人の宗教思想家、フランシスコ・ヨアキム・ボナヴェントゥラに焦点を当て、彼らの思想がフランシスコ会の設立、発展を通じて如何に融合し、近代的精神の宗教的母型を作り出したかを探る、著者四十年の研究の集大成。

【目次より】
まえがき
序論
I 中世における人間観の発展
II 中世における歴史観の発展
第一章 フランシスコ会の創立をめぐって
一 都市化社会と民衆宗教運動
二 フランシスコの生い立ちと回心
三 貧しきキリストヘの随順
四 初期の弟子たちの社会的出自
五 ローマ教皇庁への出頭
六 人間キリストの模範
七 宗教的脱社会運動と教会内志向の矛盾
八 党派対立と会の分裂
第二章 アシジのフランシスコと宗教運動
一 民衆宗教運動と個人主義・主観主義
二 オルドーとカリスマ
三 教会に対する従順
四 キリストの人間性に対する愛と教会
五 ベネディクトとフランシスコの敬虔対比
第三章 アシジのフランシスコとカタリ派
一 カタリ派の物心二元論
二 カタリ派に対するフランシスコの認識
三 フランシスコの形而上学的なカタリ派との対決
四 フランシスコにおけるカタリ派の仮現説否定
五 フランシスコにおけるカタリ派の生活態度否定
第四章 フランシスコ会の教団組織について
一 会則の問題
二 総会長・管区長・属管区長・修道院長
三 兄弟愛と互助による霊的団体
第五章 フランシスコ会における党派対立の原因について
一 党派対立発生の時期
二 托鉢修道会論争による清貧概念の明確化
三 ヨアキム主義の流入と清貧論争
第六章 ボナヴェントゥラとアリストテレス哲学の関係
第一節 若き日のボナヴェントゥラとアリストテレス哲学の関係
一 学説史的展望
二 ボナヴェントゥラの修学時代とアリストテレス哲学の進展
三 アリストテレスの誤謬に対するボナヴェントゥラの態度
四 ボナヴェントゥラにおける理性と信仰
五 アリストテレス哲学の受容とボナヴェントゥラの精神
第二節 晩年のボナヴェントゥラとアリストテレス哲学の関係
一 『十戒講話』におけるアヴェロエス主義批判
二 ヨアキム主義の影響とアリストテレス批判
三 『聖霊の賜物講話』におけるアリストテレス批判
四 『天地創造講話』におけるアリストテレス批判
第七章 ボナヴェントゥラのフランシスコ伝について
一 『聖フランシスコ大伝記』と口頭伝承
二 托鉢修道会論争と『聖フランシスコ大伝記』の関係
三 ヨアキム主義の影響と『聖フランシスコ大伝記』
第八章 ヨアキムの歴史神学とスコラ学者
一 ヨアキムの生涯と業績
二 ヨアキムの三位一体論と歴史神学
三 ヨアキムの歴史神学に対するトマスとボナヴェントゥラの態度
第九章 ボナヴェントゥラの歴史神学とフィオレのヨアキム
一 アウグスティヌスとョアキムの歴史神学
二 『天地創造講話』におけるヨアキム主義
三 終末論をめぐるボナヴェントゥラとョアキムの相違
第十章 ボナヴェントゥラの歴史神学におけるキリストの位置
一 『天地創造講話』の二つの刊本
二 アウグスティヌスの歴史神学の体系内におけるヨアキム主義
三 歴史の中心に位置するキリスト
あとがき
初出一覧
註(略語一覧)
文献表


著者
坂口 昂吉(サカグチ コウキチ)
1931~ 2021年。西洋史学者。慶應義塾大学名誉教授。慶應義塾大学文学部卒業、同大学院博士課程単位取得退学。博士(史学)。
著書に、『中世キリスト教文化紀行 ヨーロッパ文化の源流をもとめて』『中世の人間観と歴史 フランシスコ・ヨアキム・ボナヴェントゥラ』『聖ベネディクトゥス 危機に立つ教師』など、
訳書に、K.ブールダッハ『宗教改革・ルネサンス・人文主義』『アウグスティヌス著作集 第8巻 ドナティスト駁論集』(共訳)M.パコー『テオクラシー 中世の教会と権力』(共訳)ヴェルナー・デットロッフ『中世ヨーロッパ神学』などがある。

カテゴリ