創文社オンデマンド叢書

雇用差別への法的挑戦

アメリカの経験・日本への示唆

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商品説明

本商品は「旧ISBN:9784423731161」を底本にしたオンデマンド版商品です。
初刷出版年月:2012/03/01

アメリカの「1964年公民権法第7編」は世界初の雇用差別禁止法として広く知られる.わが国において,雇用差別禁止法の先進的モデルと考えられてきた「同編」にも,輝く栄光のみならず苦難の歴史があった.雇用差別禁止法はいかなる経済的・社会的条件の下で開花しまた挫折するのか.アメリカ人法学者はいかなる法解釈を通して「第7編」の再活性化を図ろうとしているのか.日本はアメリカの経験から何を学びうるのか.日本および諸外国の雇用差別禁止法制に大きな影響を与えてきた「第7編」をめぐる歴史を生き生きと描き出し,問題点を鋭く剔抉する渾身の作.

人種・ジェンダーなどによる雇用差別にアメリカはどのように取り組んだのか? 1964年代から現在までの法律の変遷を辿る。日本にも大いに参考になる事例がある。

【目次より】
序論
PROLOGUE 暗く厳しい長い冬 第7編制定以前のアメリカ社会
一 人種問題  二 ジェンダー問題
ACT I 栄光への道のり 第7編法制形成史
Scene I 雪どけ 萌芽期の雇用差別禁止法
一 アメリカ社会の変貌  二 雇用差別禁止法の制定 三 雇用差別禁止法の運用
Scene II 春をよぶ嵐 人種差別撤廃を求める運動の高まりと雇用差別禁止法の成立
一 社会経済的状況 二 Brown事件連邦最高裁判決 三 公民権運動の展開 四 雇用差別禁止法の形成
Scene III 光り輝く季節 アファーマティブ・アクションから差別的効果法理の形成へ
一 第7編制定後の社会的状況 二 行政機関および個人による扉用差別禁止法の運用 三 1972年雇用機会均等法の制定 四 差別的効果法理の形成
INTERMEZZO 第7編および大統領命令11246の実現の仕組み
一 第7編の実現の仕組み  二 大統領命令11246の実現の仕組み
ACT II 漸次的後退 第7編法制の受難の歴史過程
Scene I 過ぎ行く夏 第7編法制の後退の始まり
一 個別的差別取扱い法理の形成  二 状況の転換 三 EEOCによる第7編の運用 四 差別的効果法理の拡張的適用の阻止 五 系統的差別取扱い法理の形成と縮減 六 1978年における妊娠差別禁止法の制定
Scene II 冬の時代へ 共和党政権下における大きな後退
一 新しい状況 保守主義の展開 二 行政機関および個人による雇用差別禁止法の運用 三 系統的差別取扱い法理の衰退 四 差別的効果法理の縮減 五 個別的差別取扱い法理の肥大化と混迷
六 1991年公民権法の制定
Scene III 小春日和,そして,木枯らし 若干の揺り戻し,そして再度の後退
一 社会的状況  二 行政機関および個人による差別禁止法の運用 三 差別的効果法理の衰退 四 個別的差別取扱い法理の展開 五 差別禁止法理(差別的効果法理・差別的取扱い法理)の現段階 2009年Ricci事件連邦最高裁判決
EPILOGUE 再ぴ春を 法学による判例批判・第7編法制再建の模索
一 リンダ ・ クリーガー (Linda Hamilton Krieger)   二 マイケル・セルミ(Michael Selmi) 三 チャールズ・サリヴァン(Charles A. Sullivan) 四 まとめ
補論I セクシュアル・ハラスメント法理
一 1970年代中葉の下級審判決 差別的取扱い法理の変型版としてのセクシュアル・ハラスメント法理 二 セクシュアル ・ ハラスメントの2類塑論 三 連邦最高裁による環境型セクシュアル・ハラスメントの認定 四 環境型セクシュアル・ハラスメント法理の展開 五 法学からのセクシュアル・ハラスメント法理批判 六 むすびにかえて
補論II アメリカ法の特質
一 立法の形式と内容 二 行政との関係における司法の優位 三 司法の特質  四 法学の特質
補記
あとがき


著者
相澤 美智子(アイザワ ミチコ)
1971年生まれ。 日本の法学者。一橋大学大学院法学研究科教授。専門は労働法。一橋大学法学部卒業、カリフォルニア大学バークレー校法科大学院修士課程修了、一橋大学大学院法学研究科修士課程修了。東京都立大学大学院社会科学研究科博士課程単位取得。一橋大学で法学博士号を取得。専門は、労働法。
著書に、『導入対話によるジェンダー法』(共著)『比較判例ジェンダー法』(共著)『雇用差別への法的挑戦』『アクチュアル労働法』(共著)『労働法 NBS』(共著)などがある。

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