創文社オンデマンド叢書

その空の下で

尾崎 喜八 (著者)

シリーズ:尾崎喜八の著作

¥ 3,080 (本体: ¥ 2,800 + 消費税: ¥ 280)
数量 在庫 在庫あり

商品説明

詩人、随筆家、翻訳家、また、クラシック音楽への造詣も深い著者は、山や自然を描いた詩や散文の秀品を多く残した。
本書は、詩集である。
その空の下で (妻に代わりて)
安達太良山もここから先は足で登るか、
ガラガラ廻っている味気あじきないあのリフトで
吊り上げられて行くかするよりほかはない。
山麓をいろどる落葉松からまつの新緑、遠い郭公、
峰の高みに真白な残雪の帯、
そして頭の上は、見よ、この空だ。
おばさまが言ったという「智恵子のほんとの空」、
東京ならぬみちのくの空が、
「あどけない話」どころか真底女人の
思い入ったまじめさで、少し悲しく、
深く青々とひろがっている。
私はこの空を今は亡い人のその昔の郷愁と
同じ思いでしみじみと見上げる。
足もとには猩々袴か燕オモトか
つやつや光る強い緑の芽がぎっしり。
これもあのかたの故郷の山の草だと思えば、
踏むどころか、記念に一株掘るどころか、
気をつけて、丁寧に、
跨いで、 行く。
【目次より】
されど同じ安息日の夕暮れに
アイヒェンドルフ再読
よみがえる春の歌
音楽会で
シューマンと草取り
一つのイメージ
ほほえましいたより
復活祭
晩年のベルリオーズ
上高地にて
森林限界
詩人と笛 その一、その二
夏行
恢復期の朝
鎌倉初秋
明月谷
岩雲雀の歌
古い山の地図を前にして
雲表の十月
霧ガ峯の春
カエデの勉強
続けかしの歌

ヴィヴァルディ
『諸国の人々』
勉学篇
バッハの『復活祭オラトリオ』から
二つの現実
讃称
エリュアール
浄土平
その空の下で
春愁
命あって
黄道光
トンボの谷
詩「無常」の作者に
過去と現在
安らぎと広がりの中で
沈みゆく星に寄せて
後記


著者
尾崎 喜八(オザキ キハチ)
尾崎喜八(おざき きはち)
1892~1974年。詩人、随筆家、翻訳家。京華商業学校卒業。山や自然を主題とした詩や散文、エッセイの佳品を多く残す。クラシック音楽への造詣も深い。
著書に、『詩集 空と樹木』『高層雲の下 詩集』『曠野の火 詩集』『旅と滞在 詩集』『山の繪本 紀行と隨想』『雲と草原』『行人の歌 尾崎喜八詩集』『雲』『詩人の風土』『高原詩抄』『比の糧 詩集』『組長詩篇 詩集』『二十年の歌 詩集』『詩集 同胞と共にあり』『麥刈の月』『夏雲 尾崎喜八詩集』『残花抄 尾崎喜八集』『高原暦日』『美しき視野 自然隨筆集』『碧い遠方』『尾崎喜八詩集』『尾崎喜八詩集』『花咲ける孤獨 詩集』『わが詩の流域』『山の詩帖』『歳月の歌 詩集』『尾崎喜八詩文集 第1~第10』『自然手帖』『さまざまの泉』『田舎のモーツァルト 尾崎喜八詩集』『私の衆讃歌』『尾崎喜八詩集』『夕べの施律』『自註 富士見高原詩集』『その空の下で 詩集』『あの頃の私の山』『音楽への愛と感謝』『名もなき季節 富士見からの手紙』『日光と枯草』『魂、そのめぐり会いの幸福』などがある。

カテゴリ