創文社オンデマンド叢書

独仏関係と戦後ヨーロッパ国際秩序

ドゴール外交とヨーロッパの構築 1958-1969

川嶋 周一 (著者)
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商品説明

本商品は「旧ISBN:9784423710692」を底本にしたオンデマンド版商品です。
初刷出版年月:2007/01/01

今なお傑出した外交家として歴史に名を刻む仏大統領ドゴールの、政権復帰から退陣までのヨーロッパ秩序再編構想とその国際的反応を分析する本書は、欧州統合と大西洋同盟の二つの国際秩序において「ヨーロッパ」が立ち上がる様子を活写する。膨大な量の仏・独・米・欧州共同体等の一次史料から見えてくるのは、冷戦と分断という秩序を書き換え、組み直し、そして突き破ろうとしたアデナウアー、ケネディ、ブラントなどの思惑の交錯・衝突と、冷戦・欧州統合・脱植民地化・独仏関係が連関しながら展開される多国間外交の姿である。その外交の末に我々が目にするのは、冷戦構造を侵食する重層的なメカニズムの形成であった。従来の外交史研究では捉えきれなかった、国民国家を超える政治空間の構築を解明する、「ヨーロッパ構築史」の画期的な試み。第25回渋沢・クローデル賞本賞受賞。

【目次より】
序章 戦後ヨーロッパ国際関係史の再構築
第一部 「大構想」の実現を目指して 一九五八-一九六三:ドゴール=アデナウアー時代のヨーロッパ国際政治
第一章 アングロサクソン、アルジェリア、世界政策 一九五八─一九六〇:ドゴール政権復帰後のフランス外交
第一節 政権復帰前のドゴールのドイツ・ヨーロッパ政策
第二節 ドゴールの「世界政策」の発動:三頭制改革とユーラフリック秩序の追求
第三節 ドゴールのヨーロッパ安全保障政策の転換
第二章 政治同盟交渉 一九五九─一九六二
第一節 政治同盟構想
第二節 政治同盟協議の開始:パリ会談からボン宣言発表へ
第三節 フーシェプラン交渉の開始とその頓挫
第三章 米仏二つの大構想と西ドイツ外交 一九六一─一九六二
第一節 ベルリン危機と戦略転換:柔軟反応戦略の登場
第二節 二つの大構想:MLFをめぐるドゴール、ケネディ、アデナウアーの衝突
第三節 独仏提携の試みとナッソー宣言の衝撃
第四章 エリゼ条約の成立一九六二─一九六三
第一節 独仏関係の「和解」:政治同盟の二国間解決と相互公式訪問
第二節 イギリス加盟交渉と仏英関係
第三節 協定か条約か:独仏提携交渉の進展と議会批准問題
第四節 ドゴールの記者会見とエリゼ条約の成立:独仏関係、大西洋同盟、ヨーロッパ統合の交錯
第五節 前文問題:エリゼ条約成立の反響と西独批准への道
第二部 「大構想」後のヨーロッパ国際政治の危機とその克服 一九六三─一九六九:デタントと共同市場
第五章 ドゴール外交の「頂点」 一九六三─一九六六:自主外交とデタントヘの転回
第一節 ヨーロッパの核防衛秩序:MLF対ドゴール
第二節 ドゴール外交の「デタント的転回」と「自主外交」の登場
第三節 フランスのNATO部分撤退と対ソ接近
第六章 ヨーロッパ・デタント 一九六三─一九六八:西ドイツによる東西関係変革の模索
第一節 西ドイツのドイツ政策の転換:シュレーダー外交とブラント外交
第二節 アルメル報告の採択と同盟のデタントヘの対応:全ヨーロッパ的秩序へ
第七章 ヨーロッパ統合の危機 一九六三─一九六五
第一節 六三年危機からの脱却:サンクロニザシオンと共通農業政策交渉
第二節 エアハルト・イニシアティブ:政治同盟交渉復活の試みと独仏関係の隘路
第三節 空席危機へ
第八章 ヨーロッパ共同体の定着 一九六五─一九六九
第一節 空席危機とその解決
第二節 空席危機後のEEC:共同体政策の深化と第二次イギリス加盟交渉の破綻
第三節 「フランス問題」の解決と共同体の定着:西独イニシアティブからハーグヘ
終章 統合されたヨーロッパと多極化された世界
あとがき

史料・参考文献一覧


著者
川嶋 周一(カワシマ シュウイチ)
1972年生まれ。政治学者、明治大学政治経済学部政治学科教授。北海道大学法学部卒業、同大学院法学研究科修士課程修了。パリ第4大学DEA(Diplome d'Etudes Approfondies)取得。北海道大学大学院法学研究科博士課程単位取得満期退学。専門は政治学、国際政治史、ヨーロッパ政治外交史(EU研究含)。
著書に、『独仏関係と戦後ヨーロッパ国際秩序――ドゴール外交とヨーロッパの構築 1958-1969』(渋沢・クローデル賞)などがある。

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