創文社オンデマンド叢書
神学的言語の研究
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商品説明
本商品は「旧ISBN:9784423171196」を底本にしたオンデマンド版商品です。
初刷出版年月:2000/02/01
ケーベル博士は西洋文化の理解のために神学の基礎知識が不可欠であると力説したが、いまだ神学は学問として認知されていない。本書はトマス・アクィナスが厳密な意味で「学」である神学を構築した事実を言語学的側面から論証、特に彼の神学が聖書と結びつくことにおいて「学」として確立することを明らかにし、学問領域の拡張を試みた問題作。
本書はトマス・アクィナスが厳密な意味での「学」としての神学をいかに構築したかを、“神”と呼ばれる神秘に関わる認識的・学問的言語としての神学的言語であるアナロギア、神の像、悪などに注目しつつ『神学大全』の分析をとおして論証する。とくに聖書的神学と対立するとされたトマスの神学が、むしろ徹底して「聖書的」であり、聖書と結びついてはじめて「学」として確立したことを明らかにした。さらに近代の人間中心主義的な理性観の限界を越えて、学としての神学が既存の学問だけではなく、われわれ自身にも知られていない認識能力の可能性を拓き、理性の自己超越性を洞察するうえでいかに有効であるかを、信仰告白や神秘経験の表現である宗教言語とは区別された神学的言語を考察することにより解明している。
【目次より】
まえがき
目次
序論
第一章 「学」としての神学
I 「学」としての神学の可能性
II 「学」としての神学をめぐる問い
III 「学」としての神学と現代の哲学的状況
IV トマスにおける「学」としての神学
V 「学」としての神学をめぐる問題
第二章 トマス・アクィナスと神学的言語
I 神学と聖書
II 神学的言語について
III 『神学大全』における神学的言語の展開と変容
IV 結語
本論
第三章 神学的言語としてのアナロギア
I トマス神学とアナロギア
II トマスの「アナロギア」理解
III 神認識とアナロギア
IV アナロギアと神学的言語
第四章 神学的言語としての「神の像」(1) 「神の像」再考
I はじめに 問題
II 「人間の尊厳」をめぐる問題
III 「神の像」としての人間の正しい理解をめざして
IV 人間本性と「人間の尊厳」 真のヒューマニズムヘの道
第五章 神学的言語としての「神の像」(2) トマス・アクィナスにおける神学的言語としての「神の像」
I はじめに 問題
II 「神の像」の概念
III 「神の像」としての人間
IV 結び
第六章 トマスにおける神学的言語としての「悪」(1)
I 問題 二つの「悪」言語
II 欠如(privatio)としての悪
III 倫理的悪とは何か
第七章 トマスにおける神学的言語としての「悪」(2)
I 問題
II キリストにおける悪
III キリストの罪
IV 結論 キリスト論的「悪」理解
第八章 キリスト論と神学的言語
I 問題 「学」としての神学
II アンセルムスにおける「学」としての神学
III 神学的言語としての「適わしさ」
IV 「受肉」の神秘 聖書と神学的探求
V 神学的言語としての「受肉」
VI 結論 「神学的言語」の諸問題
第九章 受肉と神化
I 序論 問題
II 見神と神化(1)
III 見神と神化(2)
IV キリストにおける至福なる知
V 『神学大全』における神学的言語としての受肉と神化 結論
付論
一 トマス・アクィナス『神学大全』の基本的構想
二 神学的言語について
1 はじめに
2 神学的言語と宗教的言語
3 教義と神学
4 神学と聖書
5 「学」としての神学
6 神学と神秘的経験
7 『神学大全』第一部における神学的言語
8 『神学大全』第二、三部における神学的言語
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著者
稲垣 良典(イナガキ リョウスケ)
1928年生まれ。東京大学文学部卒業。アメリカ・カトリック大学大学院哲学研究科にてPh.D.を取得。文学博士(東京大学)。九州大学名誉教授。専門は中世スコラ哲学。『神学大全』翻訳で第67回毎日出版文化賞、『トマス・アクィナスの神学』および『トマス・アクィナス 「存在」の形而上学』で第27回和辻哲郎文化賞をそれぞれ受賞。